本当に医学部を受験して進学しても良いか考えてみよう

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医学部は逃げ道がほぼ無い 

 まず本当に医師という職業についてしっかり理解して医学部受験を決意しているのか、もう一度よく考えてみてください。医学部が他の学部と決定的に異なるのは医学部に入学することが医師以外の進路を断ち切るということにつながるということです。もちろん医師免許を有しながら他の職種に就くということは可能です。しかし医学部卒業生の中では、ほんの僅かです。

 また、医学部を卒業し大学院に進み、医学研究者として働いていくことも可能です。しかし医学研究者の多くは、大学病院で臨床医として働きながら医学研究も行っている方が多いです。

 そのため、医学部入学後にやっぱり医師になりたくないから進路を変更するというのは医学部の退学という選択肢を取らない限り叶わないということです。

 医師という職業は想像以上に過酷です。私も大学の医学部に入ってから医療現場の実際について初めて知ることが多くありました。

 

厚労省案では労災認定される「過労死ライン」(月80時間超)を踏まえ、一般医師は休日労働込みで残業時間の上限を年960時間までに規制する。そのうえで、地域医療を担う特定の病院の医師や技能向上が必要な研修医については「年1860時間」まで容認する。

 地域医療の上限は35年度末までの特例とするほか、研修医は本人の申し出によって適用する。年1860時間という緩い規制の対象となる医師については連続勤務を28時間までに制限し、終業から始業まで9時間の休息確保を義務づける。

 厚労省が上限時間の根拠としたのが、医師の約1割の残業時間が年1900時間を超えているという実態だ。医療現場は医師の長時間労働によって成り立っている面が強く、厳しい規制を当てはめれば医療が立ちゆかなくなるとの懸念がある。

日本経済新聞 2019年3月13日付

 これは厚労省が進める医師の働き方改革についての記事です。研修医の残業上限が1860時間という点が驚きをもって話題となりましたが、医学部を卒業された研修医の先輩の話を聞いていると、医師が非常に長時間の労働を行っている事実が何も特別なものではないと思い知りました。

 この1860時間というのは1か月あたり155時間となり、いわゆる過労死ライン(80時間)の2倍となります。あくまで残業ですから、通常の医療の労働時間に加えた残業時間の話です。

 また、記事の中で連続勤務が28時間までに制限と普通なら目を疑うような記載がありますよね。これは病院での当直の勤務実態を示しています。

まず通常の勤務を9時~17時まで終えた後、一晩当直をします。そしてそのまま翌朝から通常通りの勤務を17時まで行い、退勤となります。この場合連続32時間労働です。厚労省案ではこれを28時間までに制限するとしています…

 医師は一般的に高給であるイメージがありますからそのイメージ先行で医学部を選んでいたり、または偏差値が高いという理由で医学部を目指しているとしたらもう一度考え直してみてください。医学部は先述の通り「医師養成学校」とも言えます。医学部入学後の進路の変更が困難なため、医師への道に適合できなかった場合医学部進学は大きなリスクといえます。医学部進学は人生をかけた選択であるということを理解して下さい。

医学部の留年・退学者は決して少なくない

 医学部の留年・退学者の人数は各大学医学部のホームページ等に公表されていますが、各医学部で毎年決して少なくない人数が該当しています。大学の医学部によって規定は様々ですが、同一学年の留年は2回までは認め、3回目の留年は認めず医学部を退学処分となったり、全体として留年は3回まで認め、4回目の留年は退学処分とする医学部もあります。実際に自分の大学の医学部でも先輩が留年がかさんで退学となったケースを何件か聞いています。医学部の留年者については大学医学部別の一覧をこの記事でまとめています。

国公立・私立大学医学部留年者・ストレート卒業率2019年度ランキング【真の国試合格率とは】
 全国の国公立・私立大学医学部では、それぞれ特色のある教育が行われています。大学別の比較で特に話題となるのが進級の厳しさ、留年者数、そして医師国家試験の合格率です。 文部科学省のホームページでは、「各大学の医学部医学科の入学状況及...

また、中には医師になるという意欲が薄いのに医学部で大量の試験勉強をしなければいけないというギャップで心身の健康を崩し、大学に来なくなってしまった医学部の同級生も何人か目にしています。

 医学部での進級は、基本的に医学科目の単位をすべて取得しないと上の学年に上がれません。1科目でも試験で不合格となるとその時点で留年が確定します。そのプレッシャーは大きく、私も試験前はいつも胃が痛いです。

医師国家試験の合格率は真の合格率とは言えない

 先述の通り、医学部6年間を留年せずストレートで卒業するのは簡単なことではありません。

 文科省が発表している「各大学の医学部医学科の入学状況及び国家試験結果」によると、平成25年度入学者のストレート卒業率は

公立大学      85.3%  
国立大学 86.8%
私立大学   82.8%
(出典:厚生労働省報道発表資料、文部科学省医学教育課調べ)

 となっています。そして、医学部を卒業できた学生のが医師国家試験を受験できます。平成31年度の医師国家試験合格率は全体で92.8%です。医師国家試験の範囲は非常に膨大で、さらに受験生は皆医学部入試を突破したうえで医学部を卒業できた者のみです。 

 また、近年大学医学部が医師国家試験の合格率を上げたいために、医学部6年生の留年者を増加させているという問題も浮上しています。本当に医師になりたいというモチベーションが保てないと、卒業して医師国家試験に合格するまで、勉強し続けることは難しいのではないかと思います。

 以上のように医学部進学というのは安易な気持ちで考えていると実際に大学の医学部に入学してから後悔することになる可能性も大いにあります。もちろん医学生は将来医療現場で患者さんのため、また、世界の医学の発展に寄与するべく日々モチベーション高く医学の勉強や自己研鑽に励んでいます。私も将来地元の医療に貢献できる人材になるべく努力しています。高校生の皆さんにも、医師になるという強い決意をもって医学部に進学してほしいと願っています。

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