今回は高校生向けに医学部合格に向けた化学の学習戦略についてです。コロナウイルスの影響で学校開始が延期になっている方も多いと思います。この期間をいかに勉強できるかで医学部を目指す周りに差をつけることができると思いますので頑張っていきましょう。
多くの学校では高校1年生で化学基礎を履修し、高校2年生から化学本科を学習していくと思います。知識の定着のしやすさや各分野の特性から、理論化学→有機化学→無機化学の順に完成させていくと良いでしょう。順に解説していきます。
高3の7月までに理論化学に目途をつけよう
理論化学は数学や物理の科目特性と似ています。学習に時間がかかりますが、一度定着するとなかなか忘れません。そこでまずは理論化学を先行させて高3の7月までに一通り典型問題が解けるレベルに仕上げることを目標とします。
下の表に、理論化学の演習で使用する参考書をまとめました。
・セミナー、エクセル等の網羅系問題集
・鎌田の理論化学
・重要問題集
・スタディサプリで化学の坂田薫先生の講義を受講する
セミナー、エクセル等の網羅系問題集
標準使用期間:高2~高3の7月
まずはセミナー、エクセルなどの網羅系問題集で基礎の定着を図ります。ここでもう一度確認しておかなければならないのは、国立医学部の入試問題は基本的にオーソドックスな典型問題が主であるということです。
そのため、この網羅系問題集をどれだけやりこめるかで医学部受験の勝負が決まるといっても過言ではありません。多くの生徒はこの基本問題のやりこみが不足しているまま、重要問題集の問題演習に突入してしまいその結果中途半端な理解にとどまっています。ここは我慢してすべての問題が解けるようになるまで繰り返しましょう。
鎌田の理論化学
この鎌田の理論化学は、学校の授業内容と並行して読み込みましょう。理解を定着させるために最適な参考書です。特に電気分解の章はこの参考書でしっかり理解しておきましょう。
重要問題集
標準使用期間:高3の7月~11月
セミナー、センサーなどの網羅系問題集が終了したら重要問題集で演習を積んでいきます。重要問題集は解説は丁寧でないので、もし理解が不十分であると感じたらもう少しセミナー、センサーで反復しましょう。
重要問題集のA問題は簡単なので、主となるのはB問題です。毎日3問ほど理論化学の演習を進め、医学部の二次試験の対応力を高めていきましょう。後述しますが、重要問題集の有機化学は構造決定の問題が不足していますので基本的に理論化学と無機化学のみ演習すれば十分です。有機化学は別の問題集で構造決定の経験を積みます。
スタディサプリの坂田薫先生の講義で理解を深める
最後にスタディサプリについてです。このスタディサプリの化学は非常に利用する価値があります。他の教科は正直クオリティはいまいちですのでお勧めしませんが、化学は別物です。一度リンクから公式ページで詳細を確認してみてください。【スタディサプリ】動画授業で苦手を克服
化学の講師は駿台で指導している坂田薫先生です。スタディサプリは月額2000円でスマホやパソコンで講義動画を視聴できるサービスです。駿台で化学を受講すると月に15000円は超えます。さらにその講義を倍速で、どこでも受講できるのですからコストパフォーマンスに優れています。
講義の質が非常に高く、化学の幹となる根本の理論からしっかり構築して解説してくれるので、医学部入試の深いレベルまで理解することができます。
スタディサプリの講座に「トップ&ハイレベル理論化学」という講座がありますから、スタディサプリと契約したらこの講座と「トップ&ハイレベル有機化学」の2つだけ受講して下さい。これで医学部への理論化学対策は完璧です。

このブログを書いている私もスタディサプリで坂田先生のトップハイの講義を受講して化学がすごく伸びたのを覚えています!
有機化学は高3夏~秋で完成させる
有機化学はスタディサプリの坂田先生の「トップ&ハイレベル有機化学」で知識を習得します。その後、セミナー、重要問題集、有機化学演習の順に演習していきます。重要問題集は飛ばしても大丈夫です。
有機化学はスタディサプリの講義がすべて
標準受講期間:高3の7月~8月
有機化学の入試問題は構造決定が大半を占めます。坂田薫先生の講義はこの構造決定のプロセスを問題演習を通じて解説してくれます。初学者は特に【スタディサプリ】動画授業で苦手を克服 で有機化学の理解をしましょう。繰り返しになりますが化学以外のスタディサプリの視聴は特に必要ありません。
講義のノートを取っておくと入試まで見直すことができますのでぜひノートを作っておきましょう。
有機化学はこの講義を理解したら8割方、医学部入試対策は完成です。できれば高3の7月~8月の二か月で受講を終えたいところです。9月から問題集に入れると後半に余裕が出てきます。
セミナー、エクセル、(重要問題集)で演習をする
標準使用期間:高3の9月~10月
次にセミナー、エクセルの有機化学の章で知識の定着を図ります。短期集中で取り組みましょう。重要問題集の有機編は時間があれば解いておきたいですが、構造決定の問題と高分子の問題数が不足しています。これは次の有機化学演習で補います。
有機化学演習で構造決定をマスターする
標準使用期間:高3の10月~11月
次に有機化学演習で構造決定の演習を積みます。例題が56問、練習問題が60問ついています。基本的には例題に取り組み、苦手な分野は練習問題も解いておきましょう。有機化学演習が終了したら、共通テスト対策と医学部の二次試験の対策に移行します。
無機化学は福間の無機化学を反復する
標準学習期間:高3の8月~11月
無機化学は基本的に暗記分野です。あまり早期に始めて試験前に忘れてしまったら元も子もありませんので、高3の8月ごろから一気に覚えてしまうのが良いと思います。
無機化学は福間の無機化学を利用します。無機化学はこれに勝る問題集・参考書はありません。スタディサプリの利用も必要ありません。この参考書を何周もして頭に全ての知識を叩き込みましょう。随所に無機化学の暗記量を軽減させてくれる工夫がちりばめられています。
福間の無機で知識の整理・習得を終えて時間があれば重要問題集の無機編を解いても良いです。時間がなければ、共通テスト・医学部の二次試験の演習に移行しましょう。
余裕があれば化学の新演習を解いておこう
標準使用期間:高3の11月~2月
これは必須ではありませんが、共通テストや医学部の二次試験の過去問演習に余裕があれば化学の新演習に手を付けてみても良いと思います。難しい問題集の典型例として挙げられることも多いですが決してそうではありません。あいまいな知識の整理に適した良問が並んでいます。当然すべての問題をこなすのは不可能ですから、医学部過去問演習の途中に数問挟んでいくのは良いかもしれません。
過去問演習は少なくとも5年分は解いておく
医学部の過去問演習のスタート時期ですが11月中に2年分は解いておくと良いと思います。そこで思ったより解けない分野や志望する大学医学部の傾向が分かります。そこで11,12月の学習の軌道修正を図りましょう。
共通テスト終了後の1月、2月で医学部の過去問は少なくとも過去5年分までは遡っておきましょう。医学部入試は周りから外れたことをやらないことが鉄則です。各大学医学部の受験生はほぼ全員過去問に取り組んでいます。過去問の知識は医学部受験生にとって常識です。そのため、自分だけが知らないということになりかねませんので、確実に5年分は解いて知識をもれなく習得しましょう。
いかがだったでしょうか。化学は特に無機・有機分野は問題演習の量で得点率が大きく伸びます。医学部合格を頑張っていきましょう。少しでも参考になればうれしいです。
なお下のnoteでは医学部受験生なら必ず解けるようにしておきたい化学のチェック問題を出題しています。ぜひ解いてみてください。
コメント