学習のバランスを意識する
基本的に大学の医学部の入試問題では国立の二次試験の英語問題の配点の大部分を長文読解が占めています。この事実から医学部を目指す際には当然、日々の英語学習の時間配分も大部分を長文読解に当てる必要があります。
文法問題は、私大医学部で単独の大問で出題され、国立大学医学部の入試では長文読解の中で問われることが多いです。センター試験ではある程度の配点を占めています。
多くの生徒が陥りがちな誤りとして、英語の学習が文法問題を解くだけになってしまう点が挙げられます。文法の知識も大事ですが、並行して長文読解、構文解釈の学習の時間を確保することが医学部を目指すうえで大切です。
英語学習は大きく、長文読解、構文解釈、単語、文法、リスニングに細分化することができます。これらの低学年のうちはそれぞれの学習時間のバランスが偏らないように注意しましょう。
常に音声を用いた学習を意識する
英語は数学や物理、化学とは異なる特徴があります。それは言語の学習であるということです。英文を読むときに頭の中では必ず文字を音声化しているはずです。
そのため、日々の学習の中で文字だけでなく音声を用いた学習を取り入れていくことが大切となります。具体的には英文のリスニング・音読やシャドーイングです。シャドウィングとは読み上げられた音声を聞き、少しずらして被せる様にその音声を復唱していくものです。
長文読解に取り組んだ後はその文章を音読することそ習慣化しましょう。もし、付属のCDがあればシャドーイングも行ってください。シャドーイングをしながら英文の内容を頭の中で処理できるようになれば、その速度で英文読解ができるようになります。
英語の語感やリズムを習得することは、英語の得点力向上に非常に効果的です。おすすめの教材としてはNHKのラジオ講座が挙げられます。高校生ならラジオ英会話を毎朝の習慣にすることを強く薦めます。
具体的な学習戦略
ここからは医学部受験を見据えた各分野の具体的な学習戦略についてまとめていきます。
長文読解
長文読解の基本は日々長文を読み込んでいくという単純なものです。しかし、単語力・構文解釈の実力が相当不足している場合には、長文読解の演習の意味がなくなってしまいます。
そのため、単語の暗記と構文解釈の問題演習も並行して行う必要があります。ここでは<土台作り>、<実践演習>、<応用力養成>の3フェーズに分けていきます。それぞれの期間で、単語・長文・構文解釈の問題集を使い分けてください。

長文問題の演習では毎回新出単語は必ず調べて覚えていくようにしましょう。単語帳の暗記と長文問題での暗記の両輪で単語力を上げていこう!
<土台作り>
・Rise読解演習2基礎~標準編
まずは、長文読解の演習の習慣をつけて問題になれるための問題集です。センター試験レベルの平易な問題なので実力がある方は飛ばしても問題ありません。
・佐藤ヒロシのマーク式スペシャルレクチャー
ここで英語長文の読み方の流れ、問題の解き方について学びます。講義形式になっていますので、この問題集を通して長文読解の解法プロセスを習得しましょう。
・精読のプラチカ
「佐藤ヒロシのマーク式スペシャルレクチャー」での学習を生かして比較的二次問題としては短く優しいレベルの問題25題で演習を積みます。
・ディスコースマーカー英文読解
二次試験の問題演習にスムーズに移行するための鍵となる重要な問題集です。私の英語の得点量向上に最も寄与した問題集を1つ挙げるとするならば、ディスコースマーカー英文読解であることは間違いありません。
英文全体の構造を図示し、論旨の展開について詳説しています。各パラグラフを短く要約していき全体の主張を捉えるという演習の流れになっています。英文のレベルが高いため、あまりに自分の今の実力とかけ離れている場合には、前の問題集や構文解釈、単語のレベルを高めてから取り組みましょう。
<実践演習>
ここでは土台作りで解法のプロセスを習得していることを前提として、二次試験レベルの長文問題を読み込んでいきます。1~2日で1長文に取り組めるようなペースで読み込んでいきましょう。
・やっておきたい英語長文500,700
受験生には言わずと知れた長文問題集の定番ですね。定番の問題集を用いることは受験勉強の鉄則です。
難点としては解説が丁寧でない、CDがついていない点です。問題を解いた後には必ず音読を行いましょう。
・イチから鍛える英語長文500,700
先ほどのやっておきたい英語長文と同様に500字、700字程度の長文問題集です。違いは解説が詳しいこと、そしてCDがついていることです。
問題を解いた後に、その英文をシャドーイングする習慣をつけると速読の力がぐっとアップしますよ。CDを効果的に活用してください。
応用力養成
・やっておきたい英語長文1000
1000字程度の超長文に対応するための問題集です。東京医科歯科大学の超長文が有名ですが、国立大学医学部の推薦入試の問題や単科医大の入試問題でも長い英文の問題が出題されることがあります。
要旨を捉える良い演習にもなりますから是非取り組むと良いと思います。
・Top Grade 英語読解問題精選
長文読解力・英作文力・要約力の総仕上げにベストな問題集です。ディスコースマーカー英文読解で学んだ英文解釈の技術を応用しながら、難関大学・医学部の過去問演習を通して英文の大意を捉える演習を行います。
英文解釈
英文解釈の演習は、長文問題集と並行して行ってください。相乗効果で実力を上げていきます。
<土台作り>
・入門英文解釈の技術70
まずは基礎的な問題集で英文構造の理解、和訳問題の解き方を習得していきます。70題ありますから、1日1題解く習慣をつけましょう。
<実践演習>
・rise構文解釈1
基礎レベルから、医学部の入試問題の読解への橋渡しとなる問題集です。講義形式で構文解釈の技術がレクチャーされています。センターレベルが読めるようになってきた人がつまづきやすいポイントを網羅しています。
・ポレポレ英文読解50
標準レベルから難関大・医学部入試の問題レベルに高めてくれる問題集です。複雑な構文を読み解いていきます。この問題集での演習を通して、構文を見抜くプロセスを身に着けていきましょう。
<応用力養成>
・Top Grade 英文読解問題精選
余裕があればこの問題集にも取り組んでおきたいところです。下線部和訳の問題を、直訳から、素直な日本語で訳せるようになる問題集です。
文法
文法の問題集については学校から配布された文法書と問題集を併用して学習しましょう。学校から配布されていなければ、以下の2つの問題集を使うことを推奨します。
・Next Stage
・Vintage
単語
単語帳は自分に合ったものを3年間やりこみましょう。何冊にも手を出して結局単語の暗記が曖昧になってしまうのでは本末転倒です。
まだ買っていないという人は今すぐ何か1冊買ってください。迷ってしまうという人には、鉄壁をおすすめします。
鉄壁は鉄緑会が出しているということもあり、難しいのではないかと思われがちです。しかし、そのようなことは決してありません。医学部の二次試験対策として過不足ない英単語が収録されています。鉄壁が優れている点は以下にまとめました。
速読英単語で速読力と英語の語感を身に着ける
最後にシャドーイングに最適な問題集を紹介します。それは速読英単語必修編です。
あえてこのサイトでは単語帳ではなく、シャドーイングのための長文問題集として取り上げたいと思います。
この速読英単語は正しく使えば英語の速読力・語感をぐっと引き上げてくれる1冊です。取り組み方を以下にまとめます。ポイントは何も見ずにシャドーイングするするレベルまで演習することです。そうすることでCDの速さで英文を読むことができるようになります。
1、まずは単語を調べずCDの長文読み上げを聞きCDのスピードで長文を理解しようと努力する
2、長文を読んで内容を把握する
3、単語のページで長文で出てきた単語を覚える
4、長文を見ながらCDに合わせてシャドーイングする
5、何も見ずにCDの音声だけを頼りにシャドーイングする
速読英単語必修編が終わったら速読英単語上級編にも取り組みましょう。
速読英単語上級編が素晴らしい点は、未知の単語の推測法を演習できるという点です。難関大の入試問題はすべての単語を知っている状況で英文を読むことが不可能です。ある程度知らない単語の意味を推測していく必要があります。
この速読英単語上級編ではその技術を演習できます。速読英単語必修編が終わったら速読英単語上級編にもぜひ取り組むことをおすすめします。当然速読英単語上級編のCDも活用しシャドーイングを行いましょう。
物理の勉強法はこちらをご覧ください。

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